2009年11月に会社更生法の適用申請を行い、経営破綻した㈱穴吹工務店（高松市藤塚町　立山繁美管財人）は、３月11日東京地方裁判所に更生手続集結の申し立てを行った。平成22年９月30日東京地裁より更生計画認可決定を受けて、㈱ジェイ・ウィル・パートナーズが管理運営するファンドと、㈱大京（東京都渋谷区　山口　陽社長）が出資をする合同会社ジェイ・エル・ケイの支援の下で、負債総額約1500億円の弁済に際し事業規模を縮小し、経営体質の強化に努めてきた。
　今回の更生手続終了でジェイ社は保有する穴吹工務店の全株式307億円を、４月１日をもって共同パートナーであった㈱大京に譲渡する契約を３月11日に締結。今後は大京グループの一員として、本格再生に向けて業務にあたることとなった。

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　㈱大京は昭和39年設立のマンション分譲大手。昨期の連結売上高は約3000億円、東証一部上場。「ライオンズマンションシリーズ」として約50年の歴史を持つ。これまでに全国で約6300棟のマンションを手がけてきた。2004年に産業再生機構による金融支援を受けているが、マンション分譲販売に特化する戦略に変更し、2005年、リース業最大手のオリックス㈱と資本提携をすると共に、マンションへ経営資源を集中。2007年にも同業の扶桑レクセルを子会社化した。現在では東京・名古屋・大阪など大都市圏を中心に、地方は政令指定都市までに販売エリアを絞っており、地方中核都市が主の穴吹工務店とは互いを補完できる関係だ。
　一方、穴吹工務店はＡＴＤ（アナブキ・トータル・ディベロップメント）システムにて、分譲マンションの企画設計、販売、アフターサービスまでトータルで事業を行う。地方中核都市を中心にサーパスブランドでこれまで約1300棟、約7万7000戸のマンションを供給してきた。またグループ会社の㈱穴吹コミュニティや㈱穴吹不動産センターなど、不動産にかかわる総合的なサービス体制が整備されている。
　これでストック事業については、両社が持つマンション管理受託戸数は約50万戸（大京約44万戸、穴吹工務店約6万8000戸）を超える大規模なものとなり、これは業界でも最も大きい規模となる。居住者向けサービス事業や、マンションの大規模修繕の請負工事事業などの拡大を図ることができる。
　それまでリフォーム事業を手がけていなかった穴吹工務店としては、大京が持つリフォームのノウハウを。逆に大京にはないマンション施工技術や工事監理業務などのノウハウを、大京グループにおけるリノベーション事業やリフォーム事業へ活かすことで、より品質の高い商品の提供が可能となる。またコスト削減という面では、両社の資材の調達を一本化することで効率的に調達コストを削減することが出来る点も大きい。
　不動産仲介事業でも東日本を主体の大京リアルドと、西日本主体の穴吹不動産センターが相互補完出来る。

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