ローカル空港では、全国初の民営化プロジェクトとして注目されていた高松空港は、優先交渉権者に選定した三菱地所㈱を代表企業とするグループ（大成建設㈱・パシフィックコンサルタンツ㈱・シンボルタワー開発㈱）の具体的な提案内容が国交省から公表された。
　旅客ビルの増築や路線数の倍増、また現在の７割増の旅客数を目指すなど壮大なプランが明らかとなり、インバウンドや交流人口の拡大による県内観光産業の活性化に向けて、大きく羽ばたいていく助走段階に入った。
　発表によると、現在１８０万人の旅客数を15年後の２０３２年までに１・７倍となる３０７万人（国内２２５万人・国際８２万人）まで引き上げる計画で、現在の７路線（国内３・国際４）を計13路線（国内６・国際７）に大幅に拡充。
　便数としては国内線が一日23便、国際線は週51便とするほか、貨物量も現在の０・６万トンから１・７万トンまで増加させる。

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　国内線ではＬＣＣの拠点である新千歳、中部、福岡など幹線空港への新規就航や増便のほか、羽田路線の機材大型化を計画。国際線では既存路線のデイリー化を進めるとともに、タイ、シンガポール、北京等への直行便の新規就航にも取り組む。路線誘致のため、変動制を設けるなどしてエリア最安値の着陸料を目指すとともに、ＬＣＣの就航意欲を喚起する料金割引なども検討する。
　便数の増加を受け、設備の充実も企図。搭乗ゲートを２スポット増やし８スポットとするほか、ＬＣＣ対応スポットや搭乗施設の新設、駐車場も３００台拡大して１３００台分を確保。高松港や高松駅までのアクセスを強化するとともに、旅行者向けには空港と観光地を結ぶ「ダイレクト・エアポート・シャトル」を実現させ、広域周遊観光の促進にも取り組むという。
　旅客ビルは既存の建物をリニューアルしたうえで増築する。地元食材を使用したメニューを提供するフードコートや、香川、四国、瀬戸内の名品を集めた土産店舗を拡充させるとともに、保安検査後のクリーンエリア（制限地域）は１７・５倍となる３１５０㎡に拡張。免税店舗もウォークスルー型とし、４倍近くに広げる。

地元との連携がカギ

　国交省が発表した審査講評によると、第一次審査ではオリックス㈱を代表企業とし、地元の高松商運㈱などで構成する「高松空港ＯＲＩＧＩＮＡＬＳグループ」が最高得点で通過。しかし第二次審査では三菱地所グループが提案した設備投資の総額や、旅客数・貨物量の高い目標設定で他陣営を振り切り、優先交渉権者という唯一のチケットを手にするに至った。
　壮大なプランのもと、四国の玄関口、また瀬戸内エリアの玄関口としての機能を背負うこととなるが、同時に官民一体となって高松空港を盛り立てていく努力も不可欠となる。
　国管理空港の民営化は仙台空港に次ぎ２例目。民営化に期待するある空港利用者も「これまでの体制では実現できそうもないプランが盛り込まれており、計画自体は非常に素晴らしい」と評価。
　その上で「空港会社の努力だけでは限界がある。自治体や観光産業などとの連携をより深め、受け皿の整備・強化を同時に進めていく必要がある」と警鐘を鳴らすように、官民が両翼となって〝観光香川〟の基盤を再構築していくことが成功のカギとなりそうだ。
　高松空港が地方空港の民営化モデルとして、テイクオフするステージは整いつつある。

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