「新鮮市場きむら」を運営する㈱きむら（高松市　木村宏雄社長）は、水産品加工センターならびに農産品加工センターを高松市内に新築整備する。総事業費は約10億5千万円という、ビッグプロジェクトとなる。
　高松中央卸売市場北方に整備するもので、農産センターは１月中旬に、水産センターは３月末に竣工する計画だ。なお、11月15日に起工式を行った。両センターの概要は次のとおり。
【水産加工センター】
▼所在地　高松市瀬戸内町509-24
▼敷地面積1011坪
▼延床面積906坪
【農産品加工センター】
▼所在地　瀬戸内町509-181
▼敷地面積　281坪
▼延床面積　223坪
　※いずれも一部二階建てを整備計画で目を引くのが水産加工センターであり、九百坪超の建物は同社の旗艦店である太田本店より二回りも大きいものだ。

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　水産加工センターには、各地の魚市場から競り落とした鮮魚が直送され、三枚卸などに調理・パック詰めを行う。さらには、煮付け魚など惣菜製造も手掛ける計画だ。
　農産品加工センターでは、品出し前の商品包装までの作業を行い、こちらでは惣菜製造は行わない。

▼京阪神の市場開拓も視野に

　同社はこれまで各店舗の担当者が市場で直接買い付けを行い、鮮魚ならば来店客の要望に応じて三枚卸など調理をして提供。市場感やライブ感で、他のスーパーと差別化を図ってきた。
　今回、両センターで加工やパック詰めなどを一元して行うことで、店舗スタッフの業務量を軽減。その分、スタッフは接客や対面販売力を強化していく。なおセンターでの加工で対応しきれない、店舗での調理は、接客の要として継続する。
　今回の大型投資と大変革に着手した理由の一つとして木村社長は、深刻さを増している人出不足を挙げる。
　「小売・飲食はじめ様々な業種で人出不足感が増しており、抜本的な解決策が見いだせていない。
　当社の強みの一つは、生鮮コーナーに配する調理ができる職人・目利きのプロだが育成に時間がかかるため、将来の人出不足に対策を打つ必要があった」
　またセンター整備は、新鮮市場きむらの創立以来取り組んできた、生産者との二人三脚のための販路拡大においても大きな意味を持つ。
　「鮮魚においては瀬戸内の魚介を加工し、京阪神といった大消費地へ卸売りも計画している。漁業関係者の安定経営に貢献するため、出口（販路）の開拓を多方面で進めていきたい」
　水産加工センターでは、大型魚から瀬戸内の小魚まで、大中小３サイズの加工機を導入。中でも小魚に対応した最新加工機は、全国的に見ても珍しいという。
　「家庭で調理に手がかかる小魚は、買値の低いことが、漁業関係者の悩みの種だ。センターで一元調理して、需要を開拓することができれば、生活者には美味しくて手頃な価格の小魚を提供しながら、漁師の収入増と両得を図ることができる」
　また最新の冷凍・冷蔵機器の鮮度保持能力は、木村社長も目を見張るほどだ。鮮度を保持できれば、京阪神など四国外の市場開拓、需要期に備えた保管という出口の拡大を図ることが可能になる。
　木村社長は漁業関係者の要望を受けて、卸売市場である㈱志度魚市（さぬき市）を運営している。加えてこの度、徳島県鳴門市の卸売市場の経営に携わることになった。
　香川・徳島の双方の需要に応じた両市場の融通などを通じて、生活者への手頃な魚介類の安定供給と、漁業関係者の経営向上に貢献したいと木村社長は抱負を語る。

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