7月5日号
2020年にオープンを予定する、「四国水族館」の本体工事の起工式が6月26日執り行われた。
建設予定地である綾歌郡宇多津町浜一番丁のうたづ臨海公園では、水族館の開設準備に取り組む㈱四国水族館開発(宇多津町 流石 学社長)、谷川俊博宇多津町長をはじめ、地元政界、水族館関係者、出資者ら約六十名が出席し、工事の無事を祈った。
四国水族館はこれまでの仮称から、着工を機に正式名称に決定。水族館は大成建設㈱四国支店の施工により、19年内に完成、20年の開業を目指す。
初年度の来場者数は120万人を見込み、以降も追加投資により魅力を高めて70万人の安定的な集客を目指すという。開業に伴う経済波及効果は年平均で83億円規模を想定しており、地域経済に大きな効果が期待される。
水族館の開発・運営にあたっては、水族館事業に必要な土地を所有する宇多津町、水族館事業の運営主体である㈱四国水族館開発、水族館運営業務を受託する㈱ウエスコ(岡山市)及び信託受託者の㈱SMBC信託銀行の四者間で、昨年3月末に基本協定書を締結している。
㈱ウエスコは総合建設コンサルタントで、神戸市立須磨海浜水族館の指定監理業務の実績がある。同社は東証二部の㈱ウエスコホールディングス(岡山市)のグループ会社である。なおウエスコHDは、昨年4月に水族館運営事業に特化した新会社㈱アクアメント(神戸市)を設立しており、四国水族館の運営業務は同社が担当する。
京都水族館の一回りコンパクト
四国水族館の概要は次のとおり。
敷地面積8516㎡、建築面積4521㎡、延床7184㎡。鉄骨造およびRC造の二階建てを整備する。
水族館の規模を示す総水量は2713トン(展示水量は2233トン)で、3000トンの京都水族館より一回り小さい。
常設展示数は水槽数が78基、約400種14000点を計画している。
コンセプトとしては、「四国水景をテーマにした〝次世代水族館〟」を掲げている。四方を海に囲まれ清流や湖沼などを有する、四国ならではの水中世界をダイナミックに再現する方針だ。また水槽や展示スタイルに可変性を持たせた、進化する次世代水族館を目指していく。
核となる展示ゾーンは次の四つ。
▼「綿津見の景(太平洋大水槽)」
四国南岸を流れる世界最大の暖流「黒潮」とその先に広がる太平洋を旅する回遊魚たちを四国最大となる650トンの水槽で展示する。
▼鮫影の景
四国南岸では回遊魚を追って、大型の様々なサメ類が来遊する。その一種アカシュモクザメを、下から見上げる形で展示する。水量78.5トン
▼うずしおの景
世界三大潮流に数えられる鳴門のうずしお。うずしお水景を観覧船から覗いた水中イメージとして再現する。水量76トン
▼夕暮れの景(イルカプール)
自由に泳ぐイルカの生態を水面から観察する「ドルフィンテラス」と水中から観察する「ドルフィンホール」を備える。水量732トン
また瀬戸内の島々と夕陽を背景に、イルカライブやビアガーデンの営業も行う。魚釣りやペンギン餌やりなどを体験できる「アクティブフィールド」では、多様なプログラムを展開する計画だ。
※起工式に先立ち、流石社長・谷川町長・㈱アクアメントおよび大成建設㈱の関係者が出席して記者会見が開かれた。
記者会見の内容は、次号で掲載を予定している。