11月25日号
東京を本社に大阪、高松、福岡など全国7拠点を展開しM&A仲介、M&A市場smartの運営などを手掛ける東証一部上場の㈱ストライク(荒井邦彦代表取締役)は、2019年度上半期(4月〜9月)の四国地区および岡山県・広島県の6県におけるM&A状況をまとめた。
これは、上場企業に義務付けられた「重要な会社情報の開示」である適時開示情報に基づき、経営権の異動を伴うM&A案件(グループ内再編を除く)について、同社が集計したものだ。
対象のM&Aは前年同期比7件増加し15件となり、2015年上半期以降の5年間では4年ぶりの増加で、2015年の17件に次ぐ高い水準。日銀の金融緩和が企業買収を後押ししていることが要因とみられる。
県別では広島県が4件(前年同期比2件増)、香川県が4件(同4件増)、愛媛県が3件(同1件増)、岡山県が2件(同±0件)、徳島県が1件(同1件増)、高知県が1件(同1件減)。
金額は前年同期(33億36百万円)を一七・三%下回る27億58百万円。これは2015年度以降の5年間では2016年度の10億37百万円に次ぐ、下から2番目の低水準で、10億円を上回る案件は前年同期の2件から半分の1件に減り、金額の非公表案件が前年同期の2件から10件に増えたため統計上の金額は伸び悩んだ。
四国地方、岡山・広島県における2019年度上半期のM&Aで、金額のトップはJ-オイルミルズ(東京都中央区)が坂出事業所(香川県坂出市)の倉庫・不動産業を譲渡する20億円。譲渡先は非公開。坂出事業所は1949年に搾油作業を開始し、1965年までは工場として稼働していたが、現在は穀物サイロ(飼料原料、大麦・小麦の保管・入出庫)、定温倉庫、普通倉庫や駐車場などを運営している。あわせて、これらの一部事業を受託する子会社の坂出ユタカサービス(同市)の株式も譲渡する。
2位は、北川精機(広島県府中市)が合板プレス機械製造の特定子会社キタガワエンジニアリング(同)の全保有株式(四八%)を同社に譲渡した4億円。キタガワエンジニアリングが北川精機の保有株を自己株式として取得した。合板プレス製造を中心とする建材機械事業は北川精機の祖業で、1999年に分社。しかし、グループ内の事業内容を見直した結果、両社間の事業シナジーを見いだせないと判断。譲渡代金はCFRP(炭素繊維)関連事業などの成長分野に充当する。
3位は穴吹興産(高松市)が、ママのセンター(長崎県長与町)が長崎県内で手がけるスーパーマーケット事業(全4店舗)を取得した2億78百万円。同県でスーパー11店舗を展開する穴吹興産100%子会社のジョイフルサンアルファ(長崎市)が事業を承継する。穴吹興産がママのセンターの会社分割でスーパー事業を取得した後に、同事業を再び会社分割して子会社のジョイフルサンアルファに移す。取得する4店舗の年間売上高は19億57百万円。
このほかベルグアース(愛媛県宇和島市)がサカタのタネ(横浜市)の子会社である長野セルトップ(長野県東御市)の花苗事業を60百万円で取得、キャリア(東京都新宿区)が高知事務センター(高知市)で手掛ける派遣社員の勤怠管理・給与計算業務を会社分割してステラス(東京都千代田区)に20百万円で譲渡した案件があった。