6月5日号
地域に根ざし、金融・非金融の両面で課題に取り組み経済活性化に努めている観音寺信用金庫(観音寺市 須田雅夫理事長)。
このほど同庫の地方創生に資する取り組みが、令和元年度 地方創生に資する金融機関等の「特徴的な取組事例」34選に選ばれ、内閣府特命担当大臣の表彰を受けた。
この取り組みは、「伊吹島の伝統的な食文化・未利用地域資源(脂イワシ)の商品化による地域の生産性向上支援」。
煮干しの産地として知られる伊吹島だが、煮干し原料に適さない脂の多いイワシは未利用地域資源でその活用が課題となっていた。
イワシは劣化が早く低単価の小魚。加工原料とするには漁獲量と輸送コストを考えると、地域での付加価値向上が望ましい。一方で、事業化はされていなかったが、脂のあるカタクチイワシの釜揚げは、伝統料理として慣れ親しまれていた。
そこで、従来の製造工程・サプライチェーンを分析。水揚げ後すぐに漁業者自ら加工する「釜揚げカタクチイワシ」を急速冷凍することで品質を維持し流通可能とした。伊吹島の網元がものづくり補助金を採択されたが、同庫がこれを支援した。
また、近隣の加工事業者との連携サポートや、HACCP対応ラインの整備、トレーサビリティの確保を支援。8社の連携体が補助事業で急速冷凍庫導入の支援を受けるためのコーディネーター役も同庫が務めた。
2017年に1漁業者で始まっ
た釜揚げいりこの開発と商品化。翌年には新たに1漁業者が加わり冷凍設備の増設に繋がった結果、地域内での製造販売が年間12トンまで増加。
今では伊吹島の全網元の約半数にあたる7漁業者が、釜揚げいりこの製造に参画。漁業者間で作るコミュニティが行政や民間企業と協力し情報発信し、同地域の持続的成長に寄与している。こうした取り組みが奏功し今年度の製造販売量は100トンを予想するほどに拡大している。