7月5日号
青い海が広がる海岸沿いを400mほど先の漁港から水揚げされたばかりのシラスを載せたトラックが大塩水産㈱(さぬき市津田町鶴羽2175-4 大塩正憲社長)の加工場へと走ってくる。
加工場では、スタッフに交じり大塩社長が厳しい目でシラスを見ながら、洗浄、茹で、冷却までが一体となった機器に通されるのを見守っていた。
香川県では、5月20日がシラス漁の解禁日だが、その日になったら魚が獲れるというわけではない。今年は、特に群れのやってくるのが遅く6月も終わりになってから漁が始まった。
同社では、漁獲、加工、販売を一環して行う県内では珍しい会社である。加工業を始めたのは31年前から、直売は約20年前から始めた。
「生シラスが全国的に話題になったが、香川県ではシラスは釜ゆで、生で食べる習慣がなかった。近所の人からの要望もあって、どんなものかと食べてみると他県で食べるよりも甘みを感じた」という。瀬戸内海での漁法はタッチ網漁で、同社でも2隻の漁船が網を引き、魚影を追う船、シラスを運ぶ船の合計4隻が一度の漁に出動する。この漁法や運ぶ際に氷を入れて冷やす方法などが鮮度を保ち、甘みのある本来のシラスが味わえるのではと話す。
多い日は1日に4〜5回、水揚げされる津田のシラス。種類はカタクチイワシだが、年に2〜3回は産卵するため同じ時期でも獲れる大きさが微妙に違う。この大きさが実は問題で、1㎝にも満たないものが生シラス、釜揚げシラスとして飲食店や贈答用に重宝されている。不揃いな大きさのものや、小さな海老、蟹類などが入ったものは乾燥後に更に天日干しされ佃煮等の加工会社へと卸される。ここ数年は、こういった天日干しシラスも消費者に人気となっている。
津田周辺の飲食店などでは、同社の生シラスが夏の旬メニューとして並ぶほか、同社の直売所は年中無休で旬の時期に獲れたシラスが冷凍保存されて手に入れられる。ただし、特に今の時期は人気のため、購入は予約が確実。直売所は年中無休で午前9時から午後5時迄。
今年も、9月〜10月中旬くらいまで津田沖はシラス漁で賑わいそうだ。同社では例年50トンほどが水揚げされ、今年も例年並みとのこと。