1月5日号
経済産業省はサービス産業生産性協議会(SPRING)が主催する「日本サービス大賞」を選定、第4回の受賞者として公表した。
この賞は、国内の全てのサービス提供事業者を対象に、多種多様なサービスを共通の尺度で評価し、〝きらり〟と光る優れたサービスを表彰する制度。日本のサービス産業は、日本のGDPと雇用の約7割を占めて、製造業に替わる、今後の日本経済の成長の鍵となる重要な産業と位置づけられている。
こうした重要な役割を担うサービス産業に関わる企業に対して、目指すべき「モデル」として是非取り入れたい、自社の付加価値向上につながる優れたサービスを選定することで、それを表彰する制度。毎回、時の社会ニーズに反映するサービス商品が選ばれている。
第4回目の今回は、全国から749件の応募があり、主催者のサービス産業生産性協議会内の委員会による厳正な審査を経て、内閣総理大臣賞1件、経済産業大臣賞3件、関係大臣賞をはじめ計30件の各賞が決定した。
香川県からは唯一、地方創生大臣賞を受賞したのが琴平バス㈱(楠木泰二朗社長)。サービス名は、「地域とつながるバスツアーの楽しさをご自宅で オンラインバスツアー」。
2020年春、コロナ下で観光業界は事業を一時的にストップをしなければならない苦境に立たされた。
同社では15名限定90分間で特産品代金を含め、約5000円の参加費という全く新しい試みで、地元密着型オンラインバスツアーを短期間のうちに造成。利用者アンケートでは最大の満足要因が「現地ガイドとの交流」と回答されるほど、旅先の現地案内役が参加者とのインタラクティブなコミュニケーションを実践した。
バス会社なのにバスを使わない、ウィズコロナの先を行く非対面型ながらライブ感・シズル感を演出。それを日頃送客している各観光地全体で取り組むスキームにすることを、新型コロナ危機初期という先行き不透明な時期に他社に先駆けて実践。先駆的なオンライン観光の事業化に成功した。
今回特に評価されたポイントとしてあがったのは左記3点。
①新型コロナ危機の不安感・不透
明感が高まる2020年5月に、前例の少ないオンラインバスツアーにより「巣ごもり」時間が長い消費者に旅情気分あふれる体験価値を提供。
②ツアー終了後に顧客と30分のブリーフィングを毎回実施し、満足要因や顧客ニーズを把握。自治体の要望を具現化した観光地の広報動画制作や労働組合のニーズに基づく貸切ツアーの商品化、海外の大学で学ぶ学生からの受注など、顧客の声から法人や海外の需要に対応したサービスを次々に提供。
③新型コロナ危機の影響で地方の観光業の収益が低迷するなか、地域密着型のバス会社が先駆的に取り組んだことで、地元の物販売上・集客効果に加え、全国の観光事業者に新規事業の可能性を示した。
琴平バスの楠木泰二朗社長は受賞の喜びを、「オンラインバスツアーにはまだまだ大きな可能性がある。事業を通じ〝地域と人〟〝人と人〟のご縁を結び、持続可能な観光地域づくりに貢献していきたい」と語っている。