2月5日号
大倉工業㈱(丸亀市中津町 神田 進社長)では、昨年12月15日に県産材、四国地域材を活用した木質構造材料の製造事業開始に係る相互協力、連携を県及び香川県森林組合連合会と締結した。
1月9日には、同社新工場となる原下工業団地(三豊市高瀬町)のある三豊市(山下昭史市長)と地域活性化推進に関する包括連携協定を締結。地域の活性化と脱炭素社会の実現に向け、市内での雇用創出と人材確保において互いに協働し、まちづくりに貢献していくもの。
締結式で、山下市長は「待ったなしの脱炭素と地域活性化。自然災害を防ぐ足掛かりともなり得る。地域人材の活用は市として活性化の大きな起爆剤となる」と話し、神田社長は「大倉工業は1963年、三豊市詫間町で建材、合板事業でスタートした。2022年に原下工業団地を取得し、1〜3期に分けて建材事業の主力となる製造事業に取り組む。森林資源の循環使用で2025年のカーボンニュートラルを、ここ三豊市で始め、雇用創出、魅力あるまちづくりに貢献していく」と挨拶した。
原下工業団地の新工場は敷地面積約2万坪。工場、倉庫、事務所等、製品加工機、乾燥機、ボイラー設備等を設ける。大きく分けて2棟の工場設備が予定されており、うち1期目となる1棟目は昨年12月に竣工し、2月に丸亀市昭和町のプレカット工場が移転、操業した。
「国産材の循環スキーム」工場
この工場は約6千坪で、丸亀工場の約2倍の広さとなった。投資額は約15億5千万円。従業員数45名で、うち4名を新規雇用予定。売上高は現在30億円。
2期目は、四国地域材を活用したJAS KD製材・集成材事業をおこなう1万4千坪の工場で、2024年5月に着工、2026年4月から操業予定。投資額は53億円。従業員数26名を予定しており、うち20名を新規雇用する。売上高は36億円を計上。
3期目は2期の事業を軌道に乗せ、高瀬進拠点を活用した事業領域の拡大を狙う。1、2期の建材グループ事業との連携、強化を図り、軸組パネルプレカット事業への発展にCLT等加工、木ファブ事業の展開をしていく。
地域材は、香川県森連ヒノキラフGRN製材工業が県材を、ナイス㈱(神奈川県)スギラミナGRN製材工場が徳島県から調達し、伐採と植林による再造林により、森林循環と利益還元の仕組みづくりに取り組む。木材を最大限に利活用し、事業価値を高め連鎖を構築化した。
「これまで海外、アメリカ、カナダ、ロシアからの外材を主として来たが、ウッドショックから脱する為に国をあげて国産材の循環に取り組んでいる。県、香川県森連との協定により、森林資源の循環スキームが出来た。香川県材は、山脈の北側にあたり、年輪が細かく強度が高い。耐震、強造材として価値がある。個人住宅だけでなく、今後は商業ビル、公共施設、集合住宅等への利用増加が予想でき、需要の伸びる分野と考える。2030年に向けた長期計画に沿って企業としての成長を示していく」と神田社長。
本社のある丸亀市からの移転については、旧工場が海側だった為、BCPの観点も理由の一つ。健全な森林サイクルに取り組むと共に、地域に根ざした活性化と脱炭素社会の実現を目指していく。