8月25日号
8月1日にグランドオープンを迎えた「虎屋別館」は、江戸時代から続いた老舗旅館「虎屋」が、江戸末期〜明治にかけて建築し、昭和天皇、上皇陛下夫妻はじめ皇族、貴族、文化人に愛された高級旅館として、約120年間営業してきた。
1975年から休業していた施設が、㈱森と山(山内 健社長)により修繕され、4室の宿泊施設として話題を集めている。
1階は「菊の間」。玄関と一部を除き、ワンフロア貸しで10名まで宿泊可能。13000円(10名宿泊1名あたり)〜57000円(繁忙期の1名料金)。昭和天皇がお休みになった「武者隠し」と呼ばれる2畳の寝所の天井には鳳凰の彫刻があり、部屋は10畳、7畳、3畳のほか、バストイレは専用。円山応挙の弟子作と伝えられる虎の掛け軸に、当時使用されていた虎の柄の座布団、その他数多くの骨董などが並ぶ。
2階には東の間(1〜6名)、中の間(1〜4名)、西の間(1〜5名)の部屋があり、バス・トイレは2箇所設置。手軽に往年の高級旅館を楽しめる価格となっている。また1階玄関側には共用のダイニングキッチンがあり、水回りや窓、エアコンなどは現在の物で補強されているが、修繕の際は、土壁から襖など全て元の通りを目指して作業された。
オープンまでの苦労を山内社長は「最初に部屋に入った際は、無理だと思った。しっかりと調べていくうち、屋根瓦さえ替えていたら、もっとそのまま残ったのではと思う程、柱や使われている素材が良かった。昨年9月から修繕を始め、今年2月末に完了して、それから地元の様々な業者に入って貰って必要な内装等を整えた。世界に誇れる日本の建築をぜひ体感して貰いたい。また、グランドオープン以降は問い合わせも多く、繁忙期外には1階は会食等に使ってみたい」と話す。
チェックイン・アウトは参道沿いのゲンのいえ(ペット一時預かり所)。朝食(別途1000円)、夕食(別途3000円)は、隣のカフェ森と山で予約可能。朝の和定食、夕食のオリーブ豚等のメニューでもてなす。敷地面積538㎡、延べ床面積294.7㎡。電話での問い合わせ、予約は0877-89-6743まで。