小豆島・福田港と姫路を結ぶ航路にまた一隻新しく「第五おりいぶ丸」を建造、４月26日から運航を開始した。この結果一日7便と充実することになり、利便性は一段と高まった。
　四国フェリー㈱（堀川智司代表取締役）、小豆島急行フェリー㈱（堀川満弘代表取締役）は、かねてより建造を進めていたもので、４月23日に関係者約200名を招き竣工お披露目を現地で行った。
　福田港に碇泊していた第五おりいぶ丸は、白い巨体が悠然として瀬戸の青い海に映えていた。
　旅客と自動車を航送する専門の船で、昭和43年11月以来小豆島急行フェリー㈱が、姫路・小豆島フェリー㈱を吸収合併して現在に至っている。
　建造したのは藤原造船所（今治市）で、総トン数約1275トン、全長71.9メートル、速力14.5ノット、旅客定員490名、積載能力は乗用車56台。
　船内を一巡したが従来のイメージを大きく破る新機軸が随所に取り入れられ、姫路までの所要時間100分を快適に過ごせるよう工夫されている。

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　大きな特長は、豪華なリクライニング椅子席（42名）、女性専用リクライニング椅子席（42名）を新設。
　子供用にはキッズルーム（37名）、バリアフリー椅子席（20名）を設け、利便性を高めた。
　ドライバーには重宝されるシャワールームを設けて、ひと汗流してもらうサービス。車椅子用のスペースも新設するなど、至れり尽くせりの完璧な設備を施している。
　椅子、ボックス席の快適さ、色づかいの優しい配置は利用客の心を和ませてくれる。
　折から姫路は、日本一の姫路城改装が間近に迫っていること、ＮＨＫテレビの「軍師官兵衛」のブームで観光客が増加していることもあいまって、新造船の投入はタイムリーなものとなった。
　「この新しい船によって便数も増えて利便性も大幅に増えるので、利用客の一層の乗船を期待したい。」（堀川満弘社長）と強い意気込みを示す。
　また、隣接してフェリーターミナルを新築したことで、利用客には歓迎されそうだ。
　名称は「廻船問屋傳右衛門」。
　かつて初期の江戸時代に北前船が往来していた頃、基地として活用されていた小豆島の往時をしのぶ建物。
　すべて木造で建てられ、重厚な時代の名残と独特の雰囲気を醸し出している。
　すぐ横には復元された灯明台、足元には御影石積が施され、夜はＬＥＤ照明が海に向けて発光し建物もライトアップされる。
　建材は塩害に強い木材をすべてに使っており、木組みは和小屋組貫工法を採用。吹き抜け天井と越屋根からの自然光が空間を演出する。
　企画・設計・施工を担当した西崎組一級建築士事務所・㈱西崎組と、堀川満弘社長との熱い想いが、さまざまな形で具現化されている。
　奇しくもこの敷地は、大坂城の築城石組に使った入出港の場所でもある。島の繁栄に活力をみせたかつての時代は、小豆島にとって記念碑的なスペースでもある。
　名称も創業家の屋号にちなみ、「廻船問屋傳右衛門」と命名した。
　館内は運転手、乗客の利用に使われるが、シャワールームや休憩室も設けた。インターネットが無料で接続できる無線Ｗｉ蝟Ｆｉ環境も整備。
　さる三月に藤原造船所で行われた進水式には、百十四銀行渡邊頭取夫妻も出席、支綱切断を行って新造船の門出を祝福した。
　福田港蝟姫路ラインの盛業を祈るとともに、「第五おりいぶ丸」の安全航海が望まれるところである。

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