小松印刷㈱（高松市香南町　小松義彦社長）は、中国地方の印刷最大手の大村印刷㈱（山口県　大村俊雄社長）を子会社化することを３月９日発表した。
　四国最大手と中国地方最大手の経営統合による、売上高約二百億円の印刷会社グループの誕生は、ビッグニュースとして全国の印刷会社を駆け抜けた。
　この経営統合により小松印刷は、関東・中部・近畿・中四国・九州に生産・営業拠点を持つ、全国上位の印刷会社へ躍進することとなる。
　大村印刷（http://www.omura.co.jp/）は大正10年（１９２１年）に創業、九十一年の業歴を誇り、地元ＦＭ局運営会社などの子会社も擁す。
　本社所在地は山口県防府市西仁井令1-21-55。資本金は5千万円で、従業員数は約300人。

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　営業拠点は山口県内・東京・大阪・広島・九州に計七ヵ所、生産拠点は本社工場を展開。デザインから製本・印刷・発送までの一貫態勢を確立している。
　主販売先は官公庁・学校・出版社・不動産などで、年商は子会社も含め約61億円を計上している。
　また大村社長は防府商工会議所の会頭、市観光協会会長を務め、地元を代表する一社である。
　一方、小松印刷はチラシ・カタログなど商業印刷に強みを持つ総合印刷会社である。筑波営業所から広島営業所まで９営業拠点と、生産拠点は筑波・大阪・香川２工場に子会社㈱ソーゴー（愛知県）を加えた計５工場を擁す。
　平成24年６月期の売上高は123億円（単体）となる見通しだ。
　大村印刷は後継者難と大村社長の体調不良を理由にＭ＆Ａ（企業合併・買収）を検討する中で、昨年11月に金融機関を通じて小松側へ申し入れがあったという。小松印刷は、大村印刷の株式の約六割を８日に取得（取得価額は非公開）し、同社を傘下に収めた。
　経営統合後、大村側の社名や拠点、従業員の雇用などで変更はない。新経営体制として、小松氏が代表取締役社長、大村氏が会長に就き、小松側から２名の役員と監査役を派遣する計画だ。
　小松印刷のＭ＆Ａの実績としては、㈱ソーゴーの子会社化（平成19年９月に全株式取得）がある。ソーゴーの社名や社内体制はそのままに、経営革新に成功している。
　小松社長に、今回のＭ＆Ａの経緯や今後の展開を聞いた。

▼大村印刷の紹介を
　「大村印刷は早くからデザインや企画機能の強化に取り組んでおり、デザインから印刷までの一貫体制を構築している。下請け比率が高い印刷業界で、約90％の元請けを誇っており、当社が目標とすべき営業ノウハウを持っている。
　首都圏に進出する一方で、西日本での知名度・印刷対応力への評価は高く、魅力的なパートナーである。
　また大村社長は長年の友人であり、気心の知れた間柄だ。Ｍ＆Ａを検討していたことは知らず、金融機関からのお話には正直驚いた」

▼貴社のどの点が評価されたのか
　「金融機関の話では数社の候補の中から、選ばれたと聞いた。一つ挙げるなら、ソーゴーの子会社化の事例を評価してくれたのではないか。
　ソーゴーは順調に成長しており、子会社ながら愛知県の企業として独立性を持たせた運営を心がけてきた。地元での存在感と90年余りの歴史を持つ大村印刷も、同様に運営していくつもりだ」

▼経営統合の効果をどう考えるか
　「大村印刷は学校・出版社・医学専門誌に強みを持つ。商業印刷がメインの当社とは全く市場が異なるため、グループ内競合がほとんどない。また中国地方・九州をカバーする生産拠点は当社にはなく、ネットワークの拡充を果たすことができた。
　一方で大村側は、当社の仕入れ力を活かしたコストダウンや、生産拠点を活用した受注能力向上などのメリットを享受してもらえるはずだ。
　グループの印刷ネットワークを活かした短納期やコストダウン、技術交流など、相乗効果は互いに無限大と確信している。
　大村印刷は９年後に百周年を迎える。その際、小松印刷と組んでよかったと取引先や地元から評価されるよう、同社を発展させていきたい」

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