12月5日号
(一社)香川経済同友会(乾 篤之代表幹事)は、11月20日、リーガホテルゼスト高松にて、トルコ・ドバイ経済視察団2012の報告会を開催した。
今回の視察は、10月21日から10月30日の10日間、同団体の代表幹事の乾氏を団長にカッパドキア、ドバイ、イスタンブール、アブダビなど中東の4都市を訪問。計18名からなる視察団が派遣された。
報告会では、乾団長(大豊産業㈱代表取締役社長)が挨拶に続いて、「トルコ・UAE経済視察総括」というタイトルで報告したのを皮切りに、三井物産㈱四国支店長の岡村和樹氏、㈱百十四銀行の渡邊智樹代表取締役頭取、㈱プラスワンインターナショナルの新開 功取締役会長、百十四リース㈱川村延廣代表取締役社長など計13人が、一人約8分の持ち時間で報告した。
トルコでは個人消費がGDPの約7割を占める内需に支えられ、リーマンショック以降も経済成長を遂げている。生産年齢人口や一人当たりGDPの増加により、購買力を持つ消費者層が拡大していることから国内消費が活発。
また、トルコの教育水準は高く、勤勉な労働者が多いため、海外から多くの企業が進出し、トルコで事業を展開する海外企業は2003年の6700社から、2011年では29200社まで増加しており、勢いがある。日本や欧州などの自動車メーカーが工場を建設するなど、「関税同盟」で輸出入の関税が不要なことと、人件費の安さを背景にEU域内の製造拠点となっているからだ。そのため、2012~17年の予想でも約4%と今後も高い成長が予想され、トルコの消費市場に対する成長余力への期待が大きいのも無理はない。
また、今年、外務省が行ったトルコにおける対日世論調査の結果では、日本への関心、対日観について「非常に関心がある」「どちらかというと関心がある」と6割以上が回答したなど代表的な親日国として報告されているから尚更だ。
しかし、こうしたデーターから大きなビジネスチャンスを見出す一方で、同視察では、超円高により、日本の製品の競争力がないことや、トルコでの日本の認知度の低さを実感した報告者が少なくなかったようだ。
実際、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアのような高所得層が多い国では日本車の後塵を拝す韓国車だが、中所得国であるトルコではウオン安もあり、現代自動車のシェアは欧米メーカーのルノー、フォード、フィアットなどを抑えて上位に立つ。また、家電についても、韓国家電は日本製品よりも優位に立ってシェアを伸ばしている。
さらに韓国はトルコとの自由貿易協定(FTA)に正式署名し、すべての工業製品の関税を発効から7年以内に撤廃するのを柱に、有望な成長市場であるトルコへの輸出拡大を狙うなど、FTA戦略で日本にさらに水をあけようと動き出しており、輸入先として日本は僅か全体の0.01%とほとんどないに等しい厳しい現状を肌で感じた格好のよう。
日本食レストランもほとんどなく、食文化を初めとする日本文化全体への関心度も決して高いとは言えないとの報告もあり、打開策として、海外企業とパートナーを組むなどの必要性に触れた発表もあった。
そのほか、ドバイで見学したフリーゾーン(JAFZA)からは、経済的かつ合理的工夫されたその建設方法など、県にも応用可能な点を見出したりと、実り多き視察となったようだ。
目次
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