【東洋テックス(株)】 代表取締役社長 松原哲裕氏
銀行時代から鍛えた現場主義を貫く開かれた経営で社員の能力を引き出す
前社長塚田昭義氏の急逝によって急遽メインの百十四銀行から特派された。責務の重さを痛感しながらも、就任三ヵ月を経て当面の仕事をこなしてきた。副社長にやはり同行から合田恒夫氏、更に川村延廣氏(百十四リース社長)を会長に迎え、タッグを組む強力な布陣で臨んでいる。明るい豪快なキャラクター。大胆さと緻密さを合わせ持つ得難い人財。取締役常務執行役員を最後に企業トップに就任したわけだが、今治支店長時代には大手の今治造船に出入りして、ものづくりの本質をかなり体得していることもプラス材料だ。
二階の大部屋に机を置き、社長室へは入らない。あくまで現場主義を貫きフットワークもよく、工場回りや社員との意思疎通も苦にしない。
就任後全社員とは一人一時間余をかけてじっくり面接、さまざまなヒントも得た。日報の中から問題点を見つけ出し、キメ細かい探求心で今後の方向性を探る努力も続ける。
高松本社・多度津工場・高松配送センターにて全社員と面談を実施するとともに、中国・青島へも足を伸ばし自ら現状を把握。
床板フローリングメーカーとして国内シェア第5位にランク、またフローリングに関する部材や塗装合板も取り扱っており、ユーザーの評価も高い。堅実無比の安定経営で年商約百十億以上をキープ。新社長によって成長戦略を描く。先代の長所を活かしつつ業容拡大への手がかりを掴み取り、開かれた全員経営で臨むのが当面の課題。
「とにかくどんどん動いて自分の眼で確認しています。お客さまや工場で社員と話をする中で、仕事上のヒントも得られ理解も深まります。銀行時代からの私の方針ですから苦になりません。もっと内容の濃い会社に仕上げていきたい」
有能なベテラン社員も揃っているし、女性の能力ももっと活用したい、など持てる力をどこまで伸ばせるか新社長の責務の一つでもある。
「下からの意見や提案をもっと吸収して、生産能率のアップや新製品の開発にも反映させたいです。」
香川の代表的な企業の一つとしてたくましく前進するが、社長交代は一つのきっかけにもなろう。
全体像を的確に把握、問題点をしぼり自社の方向性を模索しシェアアップにつなげる意向。副社長、川村会長とも協力して新生面を拓くと上昇性を持つ。慶應義塾大学卒。高松市出身。第二の挑戦へ助走が始動。60歳。