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【香川シームレス㈱】代表取締役社長 金地祐一郎氏

先代の金地行雄氏(現会長)からバトンを受け、昨年4月に就任。「会社が50周年、先代が社長に就任して30周年という節目であり、数年前からそんな予感はしていた」と、自然体で挑めることは何より心強い。
要所では会長のサポートを仰ぎながらも、社員や本社工場長である実弟の晃司氏らと若い感性をフルに発揮しながら、市場の縮小が懸念されるレッグニット業界で強い存在感を確立していく決意だ。
学卒後は帝人商事(当時)に入社。商社マンとして居心地も良かったが、2003年に香川シームレスに大きな転機が訪れる。当時OEMで90%の売上を占めていた主要取引先が民事再生法を適用。「父がコツコツ育て上げてきた会社」の屋台骨を揺るがす一大事に心の葛藤は続き、「少しでも力になれることがあるのでは」と入社を決断したのは30歳の時だった。
業界はストッキング離れや生足ブームでピーク時の四分の一程度にまで規模がシュリンク。OEMを主体とする事業展開には限界を感じ、一念発起して自社企画・開発商品の拡充や東南アジアへの輸出にも注力してきたことが失地回復への胎動となった。

 

 企画提案力が強化されたことで、自社商品を相手先ブランドで販売するODMも増えてきたことに大きな手応えを掴むとともに、「国内製造品としてのクオリティをより高め、欧米市場にも挑みたい」と表情は明るい。
 あわせて着圧ソックスや弾性ストッキングなど、業界に先駆けて投入してきた、健康市場を意識した取り組みも徐々に開花。「今後伸びしろが大きく、収益性も高い」として、医療機器としての付加価値を高めるとともに、サポーターなどアイテムを拡大しながら販路構築に全力を挙げる。
 「苦しい時代が続く中で社員も試行錯誤しながら成長し、組織力や企画開発力も高まってきた。未来への大きな種蒔きはできている」と目を輝かせており、グループ4社、二百五十名を超える従業員の司令塔として自らも背中で引っ張っていく覚悟だ。
 情熱の源泉は週末の家族との時間。9歳と7歳の愛娘に元気をもらいながら、厳しい時代における舵取りのパワーに変えていく。42歳の充実期。


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