【㈱穴吹トラベル】代表取締役社長 阿部有香さん
始まりは契約社員。1年半に渡って添乗員を務める中、持ち前の明るさと気さくな人柄、そして積み重ねてきた努力が花開き、穴吹グループ事業会社初の女性社長として3月30日付けで就任を果たした。
「男女問わず、のびのびとした就労環境で勤めてきた事もあり、特に『女性だから』という意識はあまり感じていません。それより今は『経営者』としての重責に身の引き締まる思いです」と、当時の心境を語る。
就任後も海外へ赴き、インバウンドへ向けた四国のPR活動に務めるなど奮闘の日々。
同社グループでの女性管理職は少なく、この度の辞令で女性社長としてのモデルケースになることに期待が寄せられることだろう。
26歳の時に同社ツアー企画が起ち上げられ、プロジェクト責任者として功績を残す。
その後も企画・営業にて現場を渡り歩きながら、積極的に幅広い業務を経験することによって、自らのスキルを確実に高めていった。
「インバウンド事業は目には見えづらいもの。(四国の)認知度向上や観光客の受け入れ環境を改善することは四国全体の課題でもあり、地域の方と共に受け皿となることが、当社の役割だと考えています」
近年では地方活性化へ向けたインバウンドの重要性が謳われているが、同社は外国人観光客への対応を強化するため、アメリカ、フィリピン、中国、ネパールの4ヵ国から人材を採用。一歩先を見据えた氏の行動力は、爽快感さえ感じさせられる。
柔らかい物腰で語る中で、時折見せる輝かしい笑顔からは、地元の一人ひとりの顧客と向き合って歩んできた背景を見ているように感じた。
業界の現状については、近年、バス料金が高騰したことから、参加者にとって今までより魅力的な商品をつくる難しさを感じているとのこと。その逆境の中、数あるツアー会社から一番に選んでもらえる商品開発に余念がない。ずば抜けた創造意欲もさることながら、顧客第一主義の安心・安全を兼ね備えた同社のツアーで、今後も多くの観光客を楽しませてくれることだろう。
「弊社を育てて頂いた地元のお客様を大切に、多くのご意見を頂きながら、新たなチャレンジに取り組みたい」と、その意志に迷いはない。
高松市出身。京都女子大学短期大学部卒。