【(株)春風堂】 代表取締役社長 千切谷耕一郎さん
「ラ・ファミーユ」で出店した楽天市場店が人気。伝統と革新で市場を開拓
昭和23年祖父が和洋菓子店として「春風堂」を創業。若き四代目社長として平成19年4月に就任した。
学卒後に「銀座和光」に就職、食品から衣料・宝飾畑まで、売場から仕入れまでを一通り体験。こちらに戻ってまずは工場勤務を約1年。その頃ちょうど「ゆめタウン高松」への新店準備に携わることが出来た。
「今までにない店舗ということで、開店当時はタルトの実演販売を中心とした、洋菓子の新コンセプト店ということで立ち上げた。」当時は直営店売上げでまだ七対三の割合でパン販売のほうが多かった時代。お客様のナマの声を聞くことが出来た貴重な時期でもあったと振り返る。
平成13年に高松市郊外にオープンした洋菓子の店フランス菓子工房「ラ・ファミーユ」を、オープンさせたことが一つの転機になったという。「お客様の目の前で作るという原点に回帰することと、ゼロから自分で立ち上げたい」という思いが通じたのか瞬く間に繁盛店に成長した。
「春風堂のファンの方を大事にするのは我々の義務でもある。」ということを理解した上で、ラ・ファミーユは春風堂のブランドに頼らずオリジナル商品で勝負した。
「なんで春風堂の商品を置かないんだ」と言う二代目社長(現相談役)と議論を戦わしたことも。「今思えばそこが転機だったのでは。」
現在直営3店舗とそれ以外に4店舗のトータルで7店舗。飲食店は本店二階のピエトロをFCで運営する。昨年春からはラ・ファミーユの名前で楽天市場に出店し、店舗と同一の商品を常時10種類以上ラインアップ、全国区へ進出を果たす。
「想定したよりも早いペースで売上げが伸びている。」とネット通販への将来性を感じ、またそれが縁で催事の誘いや全国ネットのマスコミ取材も受けるようになった。「いかにわかりやすく伝えるかが今まで欠けていたのでは」と気づかされたと振り返る。自社のホームページも立ち上げる。
夢は「全国のお客様に向けてラ・ファミーユの商品の認知。バームクーヘンを中心に質を上げたい。」
尊敬する京セラの創業者である稲森氏の「動機善なりや、私心なかりしか」の言葉を胸に、誠実にいま何をすべきかを自問自答しつつ、愚直にやっていきたい。束の間の休みの日は二人の子どもの相手をする良きパパ。慶應義塾大学商学部卒。37歳。いまを燃える男。