【全日空ホテルクレメント高松】 代表取締役社長 木下 典幸氏
JRマンからホテルマンへの大胆な転身。柔軟な発想で10周年へ向けて一致団結
人間の運命というものは、いつどこでどう変わるかわからない。
レール一筋に33年間務めてきたが、本社常務から一転ホテルマンへの転進と相成った。「正直びっくりしたが今となっては良いところへ来させてもらったと感謝している」と、率直な感想を洩らす。
それもサンポートにある四国随一の巨大ホテルを仕切っていく役割なのだから、やり甲斐は十分ある。
しかも性格的に、物腰がソフト、口調も考え方も柔軟性を持っており、持って生まれた素質が十二分に生かされることになりそうだ。
「JR四国にとっては看板商品なので、全力を尽くして存在感をしっかりしたものにしていきたい」
正式就任前にはホテルの実情をつぶさに体感するべく、県外の様々なホテルを7ヵ所ばかり泊まりヒントを得てくるなど、熱い気持ちは伝わってくる。そして毎日館内を一万四千歩ほど歩き、スタッフにも気軽に声掛けする。コミュニケーションづくりも社長の役割と思い、率先垂範実行する真摯な取り組みは好感が持てる。「ホテルはいわば人と人の縮図です。期待も大きいものがあるので、これを裏切らないようにしなければならない。」常に謙虚な心を持ち周囲にも気配りを怠らない律儀さも持ち合わせる。
「地方都市のホテルは苦しいが、とにかく地元の顧客を大切にしてリピーターを増やすことがこれからの仕事でもありがんばりたい。」
出身地は鳥取県境港市だが「今は高松へ骨を埋めるつもりでやっている」とのこと。親が国鉄マンだった関係で抵抗なく国鉄本社へ入社。転勤も8回経験。民営化に伴い四国入りしてはや23年。さまざまなセクションも経験したが、「半年間でしたが列車の運転をしたこともある」とのことだ。平成16年に取締役運輸部長のポストを頂き、そのあと常務・鉄道本部長を4年間務めた。
本流を歩いたJRマンとしてのキャリアは捨て難いものがあるが、全く異次元の世界ともいえるホテルマンの世界に身を投じた次第。
「確かにホテル業は苦しい時代に入っているが、必ず良いことがあるんだと明るく見るようにしたい。お客様ならどう思うか。お客さまの目線と立場で動くよう指導していきたい」
来年はオープン10周年を迎える。
大阪大学工学部、大学院卒。57歳。
第二の戦いがいよいよ始まった。