イノベーションは既存の「知と知」の組み合わせ /「西日本生産性会議」
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西日本地域の5つの生産性本部(四国、中部、関西、中国、九州)が集う大規模な会合「西日本生産性会議」が8月3日と翌4日の二日間、高松市浜ノ町のJRホテルクレメント高松で開かれた。
会議は1973年以降、毎年開催。労使の共通課題について互いの実践事例を持ち寄り、今後につなげる具体的な行動指針を検討している。開催地は持ち回りで、第45回目となる今回は、「生産性革新に挑む労使の知恵と実践力」を統一テーマに掲げた。
3日、各生産性本部の会員ら約650人が出席。はじめに四国生産性本部の佐伯勇人会長(四国電力社長)が、「これから本格化する少子高齢化社会は大きな課題ではあるが、逆に労働力の減少は生産性向上の絶好の機会と捉える発想が大事。付加価値を生む源泉は一人ひとりの創意工夫にある。この会議で得た知見を各々の現場で活かしてほしい」とあいさつした後、基調講演とパネルディスカッションがあった。
その基調講演には、入山章栄氏(早稲田大学ビジネススクール准教授)を講師に迎え、経営学的に見るイノベーション(技術革新)の創出方法を紹介。
入山氏は、イノベーションを起こす第一歩として「『新しい知(アイデア)』が必要」とし、「これは『既存の知』と、さらに別の『既存の知』を組み合わせることで生まれる。閃きひとつでも、必ず既存の知と知が組み合わさっている」と強調した。
ただ歴史の長い企業であればあるほど、「目の前の知と知は、(新たな事業展開に向けて)これまで自然と何通りも組み合わせ、やり尽くしてきたはず。次のアイデアがなかなか出てこないのはここ」と指摘。これを脱却するには、「なるべく遠くの知を探し、それを自分の知と組み合わせることが(イノベーションにおいて)重要」と説明。成功事例のひとつに、スーパーマーケットからヒントを得て考案された「トヨタ生産方式」を挙げた。