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医療最前線〜TAVI〜

 2014年3月に新築移転した香川県立中央病院(朝日町 太田吉夫院長)。県の基幹病院として、高度医療を手掛けているが、このほど県内では初となる最先端治療法〝TAVI〟を採用。多くの大動脈弁狭窄症患者を治療し、県の医療最前線を進んでいる。
 同病院が採用する〝TAVI〟とは、重症の大動脈弁狭窄症に対する新しい治療法で、開胸することなく、また心臓も止めることなくカテーテルを使用して人工弁を患者の心臓に留置するという治療法だ。
 通常の切開手術による弁の置換えは、平均3〜4時間ほどかかるが、同治療法は、約1時間40分程度で行えるとのこと。治療後の患者の回復度合いも、通常手術とほとんど変わらない結果となっている。
 大動脈弁狭窄症とは、心臓弁膜症の一種であり、大動脈弁が硬くなることで開きが悪くなり、血液の流れが妨げられてしまう疾患。病状が進めば、動悸・息切れ・胸痛や失神などの重い症状へ発展し、最悪の場合は突然死に至る可能性がある。狭窄した弁を治療するには、弁を取り換える必要がある。
 TAVIは、患者の身体を傷つける度合いが少ないことに加え、人工心肺を使用しなくてすむことから、患者の身体への負担が少なく入院期間も短いのが特徴。そのため、開心術がハイリスクな症例に対して有効なのだ。治療前には、合併症などを防ぐために医師による診断を行ってから実施している。
 TAVIは、13年に日本で初めて採用され、同病院では移転した14年3月からTAVIと同時に、新たにハイブリッド手術室も導入した。これは、高性能な透視装置と手術台を連動させることで、血管内治療が手術室でより安全に行えるとのことで、既に7件の治療実績を残している。
 手術前後の通院を考えると、香川県の患者が、県内の病院で治療を受けるメリットは大きい。これは、県の経済にも大きく関わってくることだろう。
 心臓血管外科の末澤孝徳部長は、「香川県の方が安心して県内で治療できる環境にし、身近な病院で自分に合った治療ができるような体制へもっていけるよう今後も努めていきたい」と抱負を語る。
 一問一答は次の通り。
 ▼大動脈弁狭窄症になる原因は

 加齢に伴って弁が硬化してしまうことが原因であり、60〜80代の方に多く見られます。若い方でも先天性から、高コレステロールや塩分等の過度な摂取、喫煙などの生活習慣が原因で発祥することもあります。

 ▼私生活でできる予防方法は

 食生活をはじめ、生活習慣が大きく関わってきます。高血圧・高コレステロール血症・糖尿病など、血管に影響が出る持病をお持ちの方でも、日頃から管理することで発祥を防ぐことができます。
 また、骨粗しょう症で腰が曲がっている人も、弁の硬化がしやすいと言われていますので注意が必要です。

 ▼治療による痛みはあるか

 治療後にカテーテルを症入した太もも付け根に不快感があったり、経心尖アプローチの場合には傷口の痛みがのこったり、全身麻酔の場合には手術後にのどに違和感をおぼえたりする。しかし、これらは数日から一週間程度でおさまる。
 ▼年齢が若くてもTAVIを受けられるか

 現在では、60〜70歳程度までの患者でれば通常、長期成績も担保されている外科的弁置換術が標準治療となる。しかし、これまで何度か開胸手術を受けたり、手術の危険性が高い人は、TAVIの適用が検討される。

 ▼TAVIで使用される生体弁の耐久性はどれくらいか

 非臨床試験において5年相当の耐久性を有することが確認されている。

 TEL 087-811-3333


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